Member blog / メンバーブログ

トップページ > メンバーブログ

お茶の間の消滅は本当?家族空間とテレビの在り方。

December 13, 2015

こんにちは。1期生の相澤沙弥です。

今回は、「沙弥(さや)の新世代インサイト」コラムシリーズの1回目です。

春頃からゼミで企画編集を進めてきたオリジナル書籍「2020 マーケティングはこう変わる」が遂に完成しました。この本は2016年1月よりAmazonなどでの販売を予定しています。執筆にあたりゼミ内外でダイアローグを行ったり、高校生・大学生を対象とした意識調査を実施したりしました。このコラムシリーズでは今後、そこから見えてきたトピックを取り上げて考察していきたいと思います。

フライヤー

◆第1回目のトピック「お茶の間は消えたのか?」 

昨今、「テレビの危機」や「お茶の間の消滅」といわれていますが、それは事実なのでしょうか。ちなみに「お茶の間」とは家族が集まり食事をしながら歓談する時間であり空間を言い表します。その中心には「テレビ」が鎮座しているというのが昭和の時代を象徴する生活風景でした。今でもTV番組の司会者が「お茶の間のみなさん!」と呼びかけていることがありますね。

現代では「お茶の間」は「リビング(居間)」を指すことが多いと思われます。ここでゼミ内のダイアローグから見えてきた現在のお茶の間の実態を3つ紹介します。

①お茶の間(リビング)で家族と過ごす時間は日常的にある。
帰宅してから寝るまで自分の部屋に戻らずにずっとリビングで過ごすこともある。

②テレビはBGM代わりに場を和ませるために必要で、テレビが無いと寂しい。ながらで番組を眺めているけれど、家族の短い会話のきっかけづくりとなっている。家族はTVを眺めながらも、それぞれがスマホを操作して外のコミュニティと繋がっている。

③基本的に番組は録画をしてCMをとばしながら見る。オンタイムで見られるものでもわざと録画をして10分追っかけで見ることでCMを飛ばせるようにしてストレスなく見ているという人もいる。

これらからわかることは、決して「お茶の間」という家族の空間は消滅していないということです。私たちの世代は、親の世代と比べて両親との距離が近いことが特徴です。俗にいう「友達親子」のような関係は珍しくなくお互いを下の名前で呼び合ったり、一緒に買い物やドライブに出かけたりもします。「家族全員が同じテレビ番組を見つめる」というお茶の間のイメージとは異なりますが、リビングに家族が集まり一緒に過ごす時間は結構長いのです。

 

◆リビングと連鎖するメディアが創り出す新たなファミリーマーケット 

リビングは家族が集う空間と捉えていますが、そこで誰がどのメディアに接続するかは自由です。何故ならば、テレビとスマホのメディアとしての価値が等しくなっているからです。テレビをつけながら、それぞれがスマホを操作するのは決して寂しい光景ではないのです。

スマホやタブレットといった新たなメディアの成長によってなるべくしてなった、新たなお茶の間の形態は、家族という単位でコミュニケーションするファミリーマーケットの可能性が極めて高くなると考えます。先述したように、親と子の距離がクローズかつ、家族消費における子供の意見の影響向上をチャンスとして捉えることができるからです。また、家族がリラックスした雰囲気の中で別のメディアに接続しているということは、TVのコンテンツと他メディアの情報が連鎖し情報価値を織りなす効果があるといえます。

 

◆変化していくテレビに対して私たちが求める高い信頼性 

それでは、注目度は変われどお茶の間の中心に鎮座するテレビはどのように変化しているのでしょうか。これは、かなり個人的な意見ですが、子供の頃見ていたような面白い番組が減少していると思います。価値観が多様化する視聴者の意見を懸念するばかりに、当たり障りのない内容に落ち着く傾向にあるように感じます。また、メディアの持つ影響力の分散により、相対的にテレビの持つ力も下がっているといえます。

しかし、テレビへの「信頼度」は決して低いわけではありません。以前小々馬ゼミでは、全国の高校生と大学生を対象とした、広告メディアに関する意識調査を実施しました。それによると、約75%の人が、テレビのニュース番組や新聞記事の情報を「信頼している」あるいは「どちらかといえば信頼している」と回答しています。(下記の表参照)これはSNSのメディアと比較しても高い数値になっています。私たちはSNSの情報に親しみながらも、鵜呑みに信頼しているわけではなく、マスメディアの情報により高い信頼性を求めているということがわかります。

【高校生と大学生の広告メディアに関する意識調査】
(1)調査方法
スマホによるオンラインアンケート調査「スマートアンサー」株式会社コロプラ
(2)調査対象
高校生および大学生 全国 男女
(3)調査時期
2015年11月5日(木)から6日(金)
(4)有効回答数 
1,154サンプル

「広告」「メディア」からイメージされる項目とその信頼度
「広告」「メディア」からイメージされる項目とその信頼度

 

◆今後のテレビにはより強いアイデンティティとジャーナリズムを! 

 このようなことから、今後のメディアとしてのテレビはどうあるべきなのか。それは、より強くアイデンティティとジャーナリズムを持つということです。現在は、SNSを利用すれば生活者一人ひとりがジャーナリストのような活動を行うことが容易になりました。このような時代の中で、テレビは公平性や信頼性を保ちながらも、何のために放送するのか、報道や番組ごとに放送局の意見や考えをはっきりと持つべきだと思います。いまはみな、同様に思えます。SNSのコミュニティは、意見のある者同志があつまり生まれます。TVも意見を明確に発信してくれれば、私たちは選択をすることができるので、周囲にコミュニティが発生し新たなマーケット機会が誕生していくと考えます。

余談ですが、先日、V6のデビュー20周年を記念したバラエティ番組「学校へ行こう」が復活しました。私の身の回りでの視聴率はほぼ100%で、放送からしばらくは友達とこの話題で笑っていました。小学生のころ、まだ携帯電話を与えられる前、みんなが同じ時間に同じ番組を見て、次の日に学校で感想を言い合ったりモノマネをしたりするノスタルジックな感じが蘇ります。今の小学生たちも同じことをしているのでしょうか。世代ごとにしか共感・共有できない「懐かしい」という感情は非常に尊く、その時代を生きた証がメディアによって形成されて人々の記憶の中に残ることもまた素敵なことです。今後もテレビが人生の一部を鮮やかに彩る存在であって欲しいと私は願っています。

文責:相澤沙弥