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[Cool Hunting] 浦和蔦屋書店に行ってきました。

February 08, 2016

相澤沙弥です。昨年末、埼玉県浦和に蔦屋書店ができたことをご存じですか?先日、遅ればせながら足を運んできましたので、その様子をレポートしていきます。最初にお伝えしておきますが、私は埼玉県民です。

 

◆本の販売制約を逆手に取ったビジネスモデル 

 蔦屋書店は現在、代官山・京都・函館・湘南・梅田、そして浦和にあります。二子玉川には蔦屋家電が出来たことも記憶に新しいですね。蔦屋書店を一言で言うと、おしゃれな人が行く、おしゃれな街にある、とにかくおしゃれな本屋さんです。

店頭には雑貨や文具も本と一緒に並び、スタバも併設しているため、購入前の本を座って落ち着いて読むことが出来ます。読み切ったからと言って購入義務はありません。それじゃあ本が売れないんじゃないの?という疑問が浮かびますが、蔦屋に併設されたスタバはライセンス事業として蔦屋書店が運営しているため、お財布は同じなのです。本が売れてもコーヒーが売れても、蔦屋書店の利益になります。

また、日本の本は再販制度により定価が決められているため他店との価格競争がありません。だから、在庫のリスクが大きいのですが、委託販売制度があるため売れなかった本は返品が可能です。つまり書店という形を維持するコストさえまかなえれば経営していけます。書店に足を運ぶメリットの1つである「立ち読み」をコーヒー代として確保する、実は「カフェ内の書店」というビジネスモデルが見えてきます。

 

◆おしゃれすぎ~!な本屋さん 

 代官山の蔦屋書店(T-SITE)には何度も訪れたことがあるので、「あの雰囲気」は十分に理解しています。「あの雰囲気」とは、誤解を恐れずに言うと、全部が完璧で綺麗すぎる人工的な雰囲気。訪れる人を含めてどこを切り取っても雑誌みたい。五感にびしびしと訴えかけてくる、都会の洗練された美しさとあえて混沌とさせた余裕が入り混じった、誰もが理想とするような空間の全てです。服やお化粧をしっかりして、平日の昼間からコーヒーと本を楽しむほどよい年齢のお客様。全員芸能人に見えてきます。

これは代官山だから成立しているんだなあ、と代官山に縁もゆかりもない私はぼんやり思っていました。が!それらが埼玉で日々繰り広げられているなんて。全く想像がつきません。しかも、ラッシュ時には足が浮くほど混雑する湘南新宿ラインが止まる浦和駅改札から直結。浦和の蔦屋書店は本当に蔦屋書店なのでしょうか。

急ぎます。

 

◆浦和蔦屋書店をレポート! 

とある金曜日の18時過ぎ。浦和駅で下車し、ホームの階段を下りると、

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 出、出~!改札直結の入口。浦和駅は本来西口と東口しかありませんでしたが、蔦屋書店の改札が出来たことで北口が新たに完成しました。スイカ専用改札のため、駅員さんがいません。人がじゃんじゃか吸い込まれていきます。

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外からも見えるスタバのマーク。

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入口入ってすぐのところには話題の新書が並んでいます。右奥にはスタバのレジカウンター。通路の中央に雑誌が平積みされた雑誌ロードを通ると、右手には100席をこえる図書館のようなイスとテーブルカウンター、左手には文房具と雑貨が並びます。

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ご覧のとおり、浦和にもちゃんと蔦屋書店が展開されていました。木目調で暖かいリビングのような雰囲気、照明を抑えていて観葉植物やインテリアがよくなじんでいます。カラフルな表紙の洋書の平積み、手の届かない高さに余裕をもって陳列された本、ここは本当に埼玉でしょうか?信じられません。客層としては、普段から駅を利用しているであろうサラリーマンやOLが多かったです。

 

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スタバでアイスラテを頼みカウンターに座ります。もちろんTカードやスイカを使えます。店内はなかなかの混雑ですが、座席は常に程よく空いており、席を取り合うようなことはありません。隣は資格の勉強をする若い女性、目の前ではカップルが未購入の雑誌を2人で読んでいます。まさに図書館のような光景。部活着を着てテニスのラケットバッグを担いだ女子高生5人組がフラペチーノを頼んでいます。これは埼玉っぽい。

フロア自体はそこまで広くないため、十分に隅々まで探検できました。1つ感じたことは、改札から入ってくる人は歩くスピードがとにかく速い。仕事や学校帰りで荷物が大きい人が多く、よくぶつかる。蔦屋書店は選書や陳列が独特なため、初心者はお目当ての1冊にたどり着くのが困難です。ゆっくりとうろうろしながら非効率的に楽しく本を探す蔦屋書店の醍醐味を感じるには、もう少し空いている時間を狙った方が良いかもしれません。

 

◆通過する駅から集う駅へ 

駅直結という最高の立地から様々なアプローチを考えられます。現在浦和駅は「通過する駅から集う駅」へと変身を遂げようとしています。単体でも集客力のある「カフェ×書店×駅」の相乗効果はいったいどれほどのものなのでしょうか。

小々馬ゼミで制作した「2020マーケティングはこう変わる」の第2章では図書館を併設した駅「シェアステーション」が郊外で一般的になると予測しています。これは、利用する人々の共有スペースを駅が提案することで、駅で過ごす時間が生活の大切なパートとして自然と組み込まれていくということです。

今回訪れた浦和の蔦屋書店のように、商業的・文化的な発展に貢献するような取り組みが続いていけば、地方郊外の駅周辺への引越しや集客に繋がるでしょう。ただ消費を起こすだけでない、価値が明確なライフスタイルの提案が駅のブランディングを兼ねるのではないでしょうか。私たちの未来予測が現在進行形で進んでいることを実感できたひと時でした。

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文責:相澤沙弥