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一方通行から双方向へと変化する広告コミュニケーション

March 24, 2016

こんにちは。沙弥の新世代インサイト第5回目です。

先日なんとなくツイッターを見ていたら、大量のポムポムプリンの写真が流れてきました。
ポムポムプリン、別に好きじゃないけれど、これは気になる。ということで行ってみました。

 ◆イベント規模で展開されるユニークな広告

丸ノ内線新宿駅の改札の近くにそれはありました。

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私はここにきて初めてポムポムプリン誕生20周年という広告の意図を知りました!
まさかの年下。

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写真を撮っているひとがたくさん。

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ネット・期間限定イベント・ピューロランドへの誘導がさりげなくされていました。

この場所メトロプロムナードではイベント規模の面白い広告展開を頻繁に行っています。
先月は、通販会社のニッセンがパーカーの販促の展開として、ジャニーズのアイドルグループNEWSの等身大パネルを置き、実際にパーカーを着せて展示していました。

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場所は変わって、JR新宿東口改札の近くでは進撃の巨人の巨大スクラッチ広告の展開が。

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どの広告に対しても、多くの人がスマホ片手に写真を撮ったり、触ったりして賑わっていました。

 ◆キーワードは参加による経験価値の蓄積

本来広告は意図して見るものではありません。
ではこのように人が集まり、コミュニケーションが成立するのは何故なのでしょうか。

キーワードは参加による経験価値の蓄積にあると思います。

このような広告手法の利用は、主にSNSを使いこなす若い世代をターゲットとしています。 実際に期間中「ポムポムプリン 新宿」「#ポムポムプリン」でツイッターやインスタを検索するとポムポムプリンに抱きつく若い女性の写真が大量にヒットしました。

この人たちはおそらく、ポムポムプリンが特別大好きで、ポムポムプリンの20周年をお祝いするために集まっているわけではありません。共通事項は、ポムポムプリンのことを知っているが、この広告になんらかの形で接触するその瞬間までポムポムプリンのことを忘れているということです。

人の記憶にはエピソード記憶と意味記憶の2つのパターンがあり、エピソード記憶のほうが、意味記憶よりも忘れにくいという特性があります。 ポムポムプリンにおける私のエピソード記憶は、幼稚園の頃使っていた手提げバッグと上履き入れがポムポムプリンだったということです。。重要度が低く、どうでも良いことですが、覚えていようとしなくても忘れない思い出や、連想される具体的な体験はエピソード記憶としてこれからも残っていきます。

このようなそれぞれのエピソード記憶を持った私たちの世代が大きくなり、新宿駅でポムポムプリンに再び出会い、手で触れ、友達と写真を撮って、SNSにアップしていいねをもらう一連の行動がエピソード記憶として新たに保存されます。 これは、現在の私たちにポムポムプリンの商品の購買を促すよりもハードルが低いのに記憶に残りやすい、効率的な手法です。

 ◆私たち世代と双方向に成立する広告コミュニケーション

今回のような広告展開をバズマーケティングと呼ぶことも出来ます。

私たちの世代のコミュニティ内でバズを起こすことは比較的容易です。同じ情報でも口コミを一度介すことで、利益獲得を目標とする企業の意図が見えにくくなり、情報の取捨選択の際に捨てられる確率が低くなります。これは、私たちが企業から直接的に購買を促されることに違和感を感じる一方で、「面白そう」「誰かに知らせたい」等の別ベクトルに対する感度が高く、そこに対する訴求は素直に受け入れるという特徴があるからです。

今回はポムポムプリンや進撃の巨人など「コンテンツ自体の強さ」、「魅力的なビジュアル展開」、「SNS」そして「駅」という行動変容を起こしやすい立地が掛け算となって、既存の特定のコミュニティ内で「バズってる状態」を引き起こしています。

このような双方向の広告コミュニケーションを私たちの世代で成立させるカギは、前述したとおりあからさまな購買促進や誘導を行わないことだと思います。あくまでその場では楽しさと経験価値のシェアのみを目的にすることが大切なのではないでしょうか。合理的に生きる私たちは、企業の損得勘定に対して想像以上に敏感なのかもしれません。

文責:相澤沙弥