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写ルンですの流行から見る、私たちにとっての「価値」。

November 07, 2016

1期生の相澤沙弥です。
 最近他者の自己紹介を聞く場面が多いのですが、「趣味は写真です」って言う人多すぎませんか?写真が趣味の人って、毎日を大切に生きていそうだし、おいしいものをたくさん知っていそうだし、おしゃれだしアクティブだし、休日を1日眠って過ごすような自分なんかとは違う充実した人生を送っているんだろうなと想像してしまいます。写真そのものが嫌いな人ってあまりいないし、流行りすたりでその形態は変われど「写真」という市場はきっとこれからも存在感を放ち続け、益々可能性を秘めたマーケットになっていくと思います。ですから、今回は写真についての話をします。

 

アナログ仕様が逆に新しい。若い世代に刺さる「写ルンです」。

 昨年から今年にかけてインスタで、富士フィルムの「写ルンです」を使って撮影した写真をよく見かけます。『#写ルンです』で検索すると7万件以上の写真がヒットするように、多くの人が思い思いに日常をアナログに撮影しているようです。なぜ、写真はスマホが常識な私たちがわざわざアナログに写真を楽しんでいるのでしょうか。

写ルンですLife http://fujifilm.jp/personal/filmandcamera/utsurundesu/promotion/lf30/
写ルンですLife http://fujifilm.jp/personal/filmandcamera/utsurundesu/promotion/lf30/

 今年30周年を迎えた写ルンですのホームページの雰囲気は従来のイメージと全く異なり、おしゃれで可愛く、メインターゲットは完全に若い世代に移行していることがわかります。コピーはずばり
「また、「写ルンです」にドキドキしたい。」
なんだかかわいいですよね。フィルムならではのアナログな仕様全てが30年のときを経た今、逆に新しく若者の心に刺さっています。写ルンですは、細かい設定がなにも存在しないのに、シャッターを押すだけで勝手に淡くておしゃれな仕上がりの写真を撮ることができます。スマホで撮った写真に自分好みのフィルターをかけて編集するという画期的な手法にすら私たちは「当たり前感」と「飽き」を感じはじめています。「写ルンです」ならば大きくて高い一眼レフを買わずとも、他人とちょっと違う写真が手軽に撮れるというところが、若い世代に人気なのです。

 

便利は当たり前。だからこそ、「手間と不便さ」も価値になる。

さて、写ルンですを購入してインスタにアップするその裏にはいくつもの行程があります。
写ルンですを購入

シャッターチャンスを伺い鞄の中に入れて持ち歩く

ファインダーを覗いて撮影

写真屋さんに行って現像

データ化してSNS上にあげる
これ、ふつうに面倒くさくないですか?お金も場所も時間もかかっていますし、何より、今手に持っているスマホならもっときれいにタダで撮れます。が、ここにインサイトがあります。
 私たち若い世代は、大人が利便性を追求してデジタルに移行した手間や不便さを価値として受け取っているのです。そして、淡い色味やボケた風合いの写真をおしゃれとして自己表現の道具としています。なぜならば、「便利」が当たり前な私たちにとっての商品の意味は、他の世代とは全く異なる場合が少なくないからです。したがって、「お金を支払ってモノやサービスを購入する」という行動としての消費には自体に以前ほどの価値は無くなってきているといえます。

大切なのは、
・「今」この消費が理想の自分に近づく材料となるのかというリアルタイム感
・利便性とは異なるそれぞれの感性の物差しで測った場合に価値があるのか
です。「過去の経験」や「その時の気分」そして「近い将来への期待」などとのマッチングが重要になっていくと思われます。

 最近のインスタでは、以前のようなリア充アピール写真やにおわせ写真が減少し、ナチュラルかつより嗜好性が高く表れている投稿が増加しています。写ルンですのような手間暇かけたプチ作品をアップしたり、投稿する写真を食べ物や景色に限定し人物を写さないことで統一感を持たせたりと、その人よりもその「アカウント」に個性とこだわりをつくりだす傾向にあるようです。

 

SNSコミュニケーションはシュミラークルに発展。

 SNS内でシュミラークルに発展するトレンドや傾向は敏感にその時代の雰囲気や気持ちを表しています。特に写真は、言葉に代わるコミュニケーションの手段として日に日にその価値を変化させています。言葉・テキストでのコミュニケーションって面倒なんです。前後の文脈に大きく影響されるし、読んで理解をするのに時間がかかる。その点写真は、発信者であれば解釈の余地を残すことができ、受信者側としては一気にたくさんの情報を直感で仕入れることができるので、なにかと私たちにとって都合が良いのです。

 これからも写真をはじめとするビジュアルコミュニケーションはどんどんと進化していくでしょう。目を離さずにチェックしていきたいと思います。

文責:相澤沙弥