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【TDS&USJ】周年イベントの比較からみる東西テーマパーク今後のビジョン

December 22, 2016

こんにちは。1期生の相澤沙弥です。
もう、2016年が終わろうとしていますね。はやい。はやすぎる。
 
今年は東京ディズニーシーとユニバーサルスタジオジャパンが同時に15周年を迎えた年でした。オープンは2001年。7歳だった私も22歳に。。先日、そんなTDSとUSJに遊びに行ってきたので、比較をしながら今後各テーマパークが描く未来について予想したいと思います。
 
 
◆企業における周年の意味とは
東西テーマパークにおける周年イベントは非常に規模が大きく、一年を通じた大きなテーマを掲げて大々的な告知をし、新規コンテンツを投入したり装飾やグッズに特別感を持たせたりすることで集客に結びつけています。
 
そもそも、企業における「周年」の機会は、ブランドの再認識や、社員のモチベーションアップといったメリットがあります。また、社員や顧客を巻き込んで、想いやビジョンを共有する絶好のタイミングです。
 
15周年というタイミングで両パークはどのような施策を行ったのか、早速見ていきましょう。
 
 
 
◆TDS&USJの15周年を比較
まずは表にして要点を整理してみます。
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「東京ディズニーシー15周年”ザ・イヤー・オブ・ウィッシュ”」http://www.tokyodisneyresort.jp/special/tds15th/ 「USJ15周年特設サイト」http://www.usj.co.jp/15th/
 年間入場者数は、2015年度初めてUSJがTDSを抜き、世界のテーマパークランキングで4位に躍り出ました。(1位マジックキングダム(米)、2位ディズニーランド(米)、3位東京ディズニーランド(日))
 
1DAYチケット料金は、OLCが15周年イベント開始時である2016年4月に行った料金値上げにより東西同額になりました。
 
新規ショーは双方のパークでスタートし、新規アトラクションとしては、USJに最新鋭コースター「ザ・フライング・ダイナソー」がオープンしました。
 
実際に遊びに行った感想としては安心安定のTDSと攻めのUSJです。
TDSは既存のディズニーの世界観の中にある言葉や色を使って安心感を与える一方で、ファミリー向けであるTDLとの一体化がまた一歩進んだ印象です。パーク内に点在する15周年のオブジェ「クリスタルポイント」にタッチすると光や音が流れるデコレーションには多くの子供が集まっていました。私は、TDLと併せて今年5回目のパークでしたが、いつ誰と訪れても楽しい、何度過ごしてもまた来たいと思ってしまうディズニーの力は本当に不思議です。

USJは、大型新規アトラクションやショーの投入、各コンテンツの強さを重視した、まさにやりすぎ!な面白さを感じました。「ザ・フライング・ダイナソー」はスリル満点。ぐったり。他にも、人気が全く衰えない「ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッター」や数年前にリニューアルオープンした「ハリウッド・ドリーム・ザ・ライド~バックドロップ~」「アメージング・アドベンチャー・オブ・スパイダーマン・ザ・ライド」など、新規要素のあるアトラクションが点在しており、1日ではとても回り切れませんでした。

 
 
◆能動的か受動的か。ゲストの姿勢に違いがある?
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実は初めてUSJに遊びに行ったのですが、園内の自由さに驚きました。セルカ棒○、年中コスプレ○(USJに関係ないキャラクターでも可)など、ゲストはアイディアを軸にアクティブに過ごしており、語弊を恐れずにいうと「自分たちで勝手に楽しんでる」ように見えました。もちろんアトラクションやショーを体験するときはその世界観に入り込みますが、それ以外の時間は活気ある街中か豪華な公園のよう雰囲気です。価格の手ごろさから近隣住民の多くが年間パスポートを所有していることもあり、自己流の楽しみ方で思い思いに過ごしているのではないでしょうか。USJの15周年パレードでは、パレードルートにゲストが降りて一緒に参加することが可能です。ハロウィンの時期に開催される「ホラーナイト」に至っては完全参加型のエンターテイメントです。これらのことから、USJにおいては能動的に楽しむ姿勢が相応しいのではないかと思われます。

一方TDSは、何も考えずふらっとしているだけで感動体験の仕掛けが向こうから勝手にやってきます。これが実現されるのは、世界観を保持するための一定の規定・マナーの中で、ゲストが過ごすためです。TDSという完成された世界観の中に区画された7つのテーマポートの雰囲気を楽しみながらアトラクションやショーを享受してまわることで充実した1日を過ごすことが出来ます。何か特別にこちらから楽しむためのアイディアを持っていく必要はないのです。これは、USJと比較すると受動的なゲストの姿勢を促しているといえるかもしれません。

以上のことから、15年のあいだに築き上げた両パークのイメージと、ゲスト(顧客)との関係性を感じることができました。USJのCMOである森岡さんの著書には、TDRとUSJは競合ではないという内容がありました。同じ「テーマパーク」というものを運営し、人々に感動を提供するという大きなビジョンは重なっているものの、その下にあるアイディアやゲストへの向き合い方、実際の施策は全く異なっていることがわかります。

 
◆両パークの今後の方向性を予想

さて、「周年の呪い」という言葉をご存じでしょうか。周年イベントの翌年は客足が落ち込む傾向にあるということです。2017年は当然ながら両パークとも呪いの年になります。周年を終えた今後の両パークはどのように進化を遂げていくのでしょうか。来年度以降のイベントや新規コンテンツなどを参考に予想したいと思います。

TDSは、夏にクローズしたストームライダーのハードをリニューアルした新アトラクション「ニモ&フレンズ・シーライダー」がオープンします。他にも「タートル・トーク」や、リピーターに根強い人気があるドックサイドステージでのショーがリニューアルされることが発表されています。直近はリニューアルをベースに、次の20周年に向けた準備の期間に入るのではないかと思われます。

そして節目である2020年までには、メディテレーニアンハーバーに新規アトラクション「ソアリン」をオープンすることを発表しています。近年のTDSの新アトラクションはシアター系が多かったため、大型ライドのアトラクションは非常に楽しみです。注目すべき点は、この「ソアリン」はノンキャラクターのアトラクションであるということです。ここ数年TDSはTDLのようなキャラクター中心のパークへと転換したように感じていたので驚きました。

オープン当初からのリピーターは、TDSに対して大人の雰囲気やクオリティの高いショー・飲食(アルコール)を求める傾向にあると思います。今後のTDSは、立地的に大きな集客を見込める2020年そしてパークの20周年に向けTDLとの一体化を一部で図り、リゾート全体での集客をしながらも、既存顧客(特に長年のTDSファン)を離さない独自の路線を担保していくと思います。アニメーション映画が基軸になっているTDLと比較すると、タワー・オブ・テラーのようにパークだけのオリジナルストーリーを展開できるTDSにはたくさんの可能性があることに気付かされます。オープン当初の「冒険」「イマジネーション」というキーワードに加えて10周年15周年のテーマ「マジカル」や「願い」という言葉も加わり、今後は益々広い「意味」を持ったパークへと進化していくと予想します。

USJは今後任天堂と組み、新たなエリア「SUPER NINTENDO WORLD」を誕生させることを発表しました。既に日本が持つコンテンツの貯金、そして今後生まれる無数の強力なコンテンツの発展と共に進化するパークになっていくでしょう。

マーケティングという観点で見てみると、ディズニーは既存のファンの多さや揺るぎない哲学が強みである半面、それらが戦略や事業の拡大を阻む可能性も孕んでいます。しかしUSJは、打ち出している「世界最高のエンタメを集めたセレクトショップ」という広義なコンセプトに敵う体験であれば、生活者目線で最もふさわしいものを世界中から自由に誘致することができます。(ここで言う自由とはディズニーが自社のアニメーション映画を中心としたパークづくりを行っていることとの対比です。)フラットな一般生活者のニーズやインサイトを汲み取り、流行や時代背景に合わせた価値をまっすぐに提供できるということは、USJの強みとして今後更に発揮されていくと予想します。

そして、つい先日CMOである森岡さんが退任を発表しました。このニュースがUSJの今後にどのような影響を与えるのか、しっかりチェックしたいと思います。

◆テーマパークに求める普遍的な「体験」と「景色」

私はテーマパークが大好きです。レジャー産業はLTVを最大化させるためターゲットはもはや0歳児とも言われていますが、いつどんな年代の人が訪れても楽しく、高揚した気分で溢れている場所はそうそうありません。小々馬ゼミでもディズニーにはよく訪れますが、それは最大人数がポジティブな気持ちを共有できる「場」としての期待値・価値が最も高いからです。

日常における娯楽要素は多様化していますが、その多くは結果的に「個」であることを求められます。それは個人の細かなニーズに対応した娯楽であるため、自分だけ(多くても身近なコミュニティ程度)が楽しめる内容に進化を遂げ続けています。そのような傾向を良しとする時代の中で、全く知らない人と同じライドに乗ってアトラクションを体験したり、青空の下で群がりながらパレードやショーを鑑賞する姿は何十年も全く変わっていません。このような風景こそ、テーマパークが守るべき「体験」であり、今後のビジョンの1つとして掲げ続けてほしいと願います。

そして2020年、日本が最も活気づくであろう近い未来に、高揚感の集合地であるテーマパークがどのような形になっているのか楽しみにしたいと思います。

文責:相澤沙弥