2019年3月22日(金)開催
産業能率大学 自由が丘キャンパス IVYホールにて、
「AgeMi!マーケ!2030」2020年メディアと若者の関係は?
4回目の今日はセッション③を紹介します。
なお、《プログラム》のPDFを下記からダウンロードいただけますので合わせてご覧ください。
https://www.kogoma-brand.com/report/8676/
セッション内容、講演者紹介、記念対談(境治×小々馬 敦)、小々馬ゼミの活動紹介、若者研究者紹介(8社)など読み応えのある編集内容です。
セッション③「高校生の自宅内メディア利用の実像」
〜シークエンス分析で迫るリアルな生活とメディア〜
株式会社ビデオリサーチ ひと研究所
主任研究員 渡辺庸人 先生
このセッションでは、多くの高校生がスマホを当たり前に使うようになり、またスマホの動画視聴の多くの時間が「自宅の中」で費やされていることから、テレビ視聴との関係はどのようになっているのか、2018年10月に実施した高校生を対象とする調査データ(産業能率大学 小々馬ゼミとの共同調査)を「ソーシャル・シークエンス分析」を用いて高校生の自宅内での生活行動とメディア利用の実像に迫りました。
「高校生」を一括りに捉えることには問題があり、高校生の生活は一様ではなく実際には様々な生活パターン(部活やアルバイト、受験など)があります。そこで今回は、関東と関西の高校生1,130名に実施したWEB調査で、夕方の自宅内の生活行動を30分刻みで聴取し、生活行動・メディア利用の実態を7つのパターンに分類し、その結果が報告されました。
このパターン分類を掴むことで高校生の生活行動・メディア利用に基づいたターゲティングが今まで以上に精緻に行えるようになります。
分析のプロセスですが、自宅での生活行動に関して30分刻みで質問し得た回答を、シークエンスの形に変形します。
それぞれの行動の重複を考慮して、最終的に32の行動に集約しました。
全体で見ると、17時~20時にかけて帰宅し食事や勉強だけでなく、様々なメディアに接触している様子がうかがわれました。その一方で、それぞれの生活行動・メディア利用がすべての時間帯に網羅的に発生しており特徴をつかみにくい状況でもありました。
そこで、シークエンスデータを元に、個人間のパターンの類似性を計算して、そのスコアを用いてクラスター分析を実施した結果、特徴的な7つのパターンに分けることができました。
例えば、CL7「現代のテレビっ子タイプ」は下記のようにプロファイルできます。7つのクラスターごとに異なるテレビとネット動画の比重など特徴を比較することで、それぞれのグループへのアプローチの方向が見えてきます。
(7つのクラスターの詳細はこちらを参照)
また、各クラスターを比較すると、テレビとネット動画とは必ずしも相反していないことも見えてきました。
今回の調査分析からの示唆は以下の2点です。
①典型的な“高校生像”が2つが描ける一方で、
4割近くは大 きく異なったパターンの生活を送っていること。
②メディア利用は、生活パターンに影響を受ける。
メディア多様化の時代に単純にメディアの利用時間の
多い/少ないだけで生活者は把握しきれない。
→生活シーンと映像視聴・メディア利用の関係を 丁寧に見て
いくことが必要。
最後に、ひと研究所が2018年12月に実査したWEB調査から、映像コンテンツを生活シーンで捉えた(15−29歳)チャートが提示されました。この3枚は、「テレビとネット映像の融合」を考え直すに、たいへん示唆的でした。
参照情報
VRダイジェスト
高校生の生活行動パターンからクラスターを作る〜ウェブ調査データへのソーシャル・シークエンス分析適用の試み〜
https://www.videor.co.jp/digestplus/market/2019/03/13047.html
次回は、セッション④「動画視聴最前線:バズった動画、若者の本心とは?」をレポートします!