2019年3月22日(金)開催
産業能率大学 自由が丘キャンパス IVYホールにて、
「AgeMi!マーケ!2030」2020年メディアと若者の関係は?
セッションレポート、第6回は、学生の提言!「こうしてくれたら、テレビ見ます!!」をお届けします。
なお、《プログラム》のPDFを下記からダウンロードいただけますので合わせてご覧ください。
https://www.kogoma-brand.com/report/8676/
セッション内容、講演者紹介、記念対談(境治×小々馬敦)、小々馬ゼミの活動紹介、若者研究者紹介(8社)など読み応えのある編集内容です。
セッション⑤学生の提言!「こうしてくれたら、テレビ見ます!!」 産業能率大学 小々馬ゼミ5期生 鹿角梨夏 渡辺萌
本セッションでは小々馬ゼミの5期生2名が登壇し、昨年ゼミで行った高校生調査の結果、ゼミや自宅で調査した大学生のテレビ視聴のヒアリング内容をもとに、若者(高校生・大学生)がテレビに求めているホンネを提言いたしました。
まず結論から申し上げます。私たち学生は、テレビが大好きですし、テレビ離はしていないです。
このスライドを見ていただくと、毎週見ているテレビ番組がある、テレビ番組について学校で話題にすることがあと回答する高校生は共に全体の約7割です。(昨年10月に関東と関西の男女の高校生を対象に行った調査数値)
私たちの高校時代を思い出してみても実感ある数値です。では、大学生はどうでしょう?私たちのゼミ生2年生、20歳男女、23名で、過去に毎週見ていたテレビドラマを思い出してみました。
ゼミ生全員で番組名を思い出しリストを作成。その中から過半数の学生が回答した番組に絞り、小学校、中学校、高校、大学別に「思い出のドラマ一覧」を作りました。
2005年から2010年、私たちの小学生時代の思い出のドラマです。
意見を出し合い、わかったことは小学生の頃が一番ドラマを見ていたということです。
特に2007年は記憶に残るドラマが多く、「花より男子」や「花ざかりの君たちへ」「イケメンパラダイス」などは翌日学校で話題になっていました。2005年はニンテンドーDSの発売した年で、私たちの世代ではブームが起こりクラスの多くの友達が使っていました。しかしその頃は、DSはDS、テレビはテレビと、「ながら見」はしていませんでした。現在は、テレビとスマホなどのスクリーンをながら見する行動が多いことは、今と昔の違いではないでしょうか。
次は2011年から2013年、中学生の頃の思い出のドラマです。
中学生活は、ドラマが学校内で大きく影響していました。「家政婦のミタ」は主題歌である斉藤和義さんの「やさしくなりたい」が給食の時間に流れたり、作中の「承知しました」などのミタさんがよく言うセリフを教室で真似をしたりしていました。「マルモの掟」ではマルモダンスがとても流行り、文化祭のダンスの出し物として踊っていました。
2011年はLINEのサービスが開始された年ですが、中学2年生あたりからiPhoneを持ち出した友達が多くなり、LINEが私たちに広まっていきました。そのため、LINEでドラマの話をしながら見る「ながら視聴」が多くなっていきました。
2014年から2016年、高校生の頃の思い出のドラマです。
高校生時代を思い出すと、この頃からドラマの数が減っていきました。Instagramの機能の充実やSNOWなどの自撮りカメラの普及など、若者に向けたサービスがたくさん出てきて、スマホのスクリーンが最も身近な存在になったことが影響していると思います。
またこの頃から、現実とドラマのギャップを感じ初めるようになりました。小学生、中学生の頃は学園ドラマなどを見て、高校生になるとこんなにキラキラした生活を送れるのかと憧れを持っていましたが、高校生になると現実を知り、こんなことあるわけないじゃんと冷めた感情で見てしまうようになったのを覚えています。今の高校生にインタビューした際にも、同じ意見が聞かれて、「高校生活に憧れていたのに、学園ドラマや学園シーンの広告に騙された!」と言っていたのが印象的です。
実際に知ってしまった現実との違いでドラマを素直に楽しめなくなってしまいました。
そして、大学生になって見ていた思い出のドラマは「アンナチュラル」と「今日から俺は!!」です。私たちは2年生なので、2017年から2018年に放送されたドラマです。
このほかにもいくつかにドラマが挙げられましたが、過半数の人が見ていたドラマはこの2つに絞られました。このドラマは、繋げてみなくても一話一話が面白いことがアルバイトやサークル活動などで多用で在宅時間が限られる大学生には見やすかったという理由があげられました。また、「今日から俺は!!」は、家族全員が楽しめるテレビドラマのため家族のコミュニケーションの場にもなることで見やすかったです。ダンスがとても可愛く、カッコよく、男女共にできるダンスのため真似て踊る人が多かったです。Tiktokやインスタグラムなどに上げている人が多く、それを見てドラマに興味を持った学生が多く広まっていきました。
小々馬 先生が、大学の広告に関する授業の受講者、約200名にアンケートを取ってみると、全体の4割近く(36.5%)が毎週視聴し、視聴経験者は約6割(56.6%)という数値でした。
(詳しくは下記の小々馬ゼミHPの記事を参照ください)
このスライドは、大学生が視聴し続けているバラエティ番組です。ドラマは視聴が減っている一方でバラエティは見続けている番組が多いです。今も毎週放送している番組、イレギュラーで放送している番組まで沢山あります。
ドラマには当たり外れが大きいですが、バラエティ番組は面白いところを抜き取って放送していることで、外れることがあまりないと感じています。また昔からあるバラエティ番組ほど面白いことが確証されているため見なくなる人が少ないのだと考えます。
商品を購入する際にも「失敗したくない」という思いが強い大学生の意識が反映されているように思います。
テレビでドラマを見なくなった人たちは、YouTubeとInstagramなどスマホアプリを利用して動画視聴しています。
これらのアプリは自分が探しているコンテンツ、自分の好きなコンテンツを探せることや、すべて見なくても面白いところをピックアップして載せていることがあるので手軽に見ることができます。また自分の好きな時間に好きなだけ利用できると言うことが勝手がきき都合に合わせて利用できます。
高校生と違い、多用な大学生は自宅でリアルタイムで番組を見ることは物理的に難しいです。また、面白いシーンだけピックアップして見れば「私も見た」という同調できる感覚もあります。
高校生調査、大学生へのインタビュー結果から、テレビも、インスタグラムも学生の視聴態度は似ているということがわかりました。「何となくだけど、面白いコンテンツがないか期待してみている」という意識です。結果的に、テレビよりもインスタグラムなどのスマホアプリの方が自分たち向けのコンテンツが充実していて、しかも、自分の生活時間に合わせやすくマイペースに視聴できる理由から、リアルタイムな時間的には「テレビから離れてしまっている」と言えます。大学生は、テレビ番組をTVerなど見逃し配信で視聴したり、AmazonプライムやNetflixといった動画配信サービスを利用しています。
視聴態度は一緒なのに、テレビ視聴する若者が減っているのでしょうか。
それは、若者向けの番組(コンテンツ)が少ないからです。私たちがテレビ離れしているのではなく、テレビが若者離れしていませんか?
これこそが、この発表で私たちが皆さんに一番伝えたかったことです。
このスライドの写真をご覧ください。
この写真は、私の家のリビングの様子を撮影したものです。親はテレビ一点に集中し番組を視聴している一方で、私は、基本的にスマホでYouTubeやインスタグラムをチェックしています。ただ、家族がテレビをみて笑っていたり、何かしらリアクションしていると私はテレビに視点を変えます。
私の家族だけではなく、家族とは別のことをしているが、リビングに一緒にいると答えた高校生は約5割おり、リビングではいつもテレビがついていると答えた高校生は約8割もいることが「高校生の意識行動調査」より分かりました。
現代の若者のリビングの様子は、私の家の様子とほぼ一緒なのではないでしょうか。確かなのは、私たちはテレビの前にいる時間はあり、テレビは家族の団欒に必要と考えて、決してテレビ離れはしていないということです。
高校生にインタビューすると、「テレビはリビングのBGMのような存在、無いと寂しい。」という声が多くあがります。
そして、「将来一人暮らしすることになったらテレビは買わない」と答えた高校生は約2割と低く、逆に「買う」と答えたのは男子は約5割、女子は約6割です。
一方で、テレビ番組をリアルタイムでスマホで見ることが出来たらスマホで見ると答えたのは約5割。
実際に先輩たちの行動を見ると、一人住まいの自宅にテレビがない大学生・新社会人が増えているのも事実です。
そのため、高校生までの間に「テレビの存在意義と親しみ」を定着させることが大事だと考えます。そのために、もっと学生が楽しめる番組を放送してほしいです。
参照として、若者が好きなドラマのポイントを5つまとめてみました。
特に5つめに着目して説明します。昔まで月9といった時間枠でブランド化されていたドラマですが、現在は月9だけではなく木10や土ドラと呼び方が多様化していること、大学生の在宅時間が限られていることから時間枠のブランド意識はほとんどありません。それよりも学生は、出演するキャストや監督で視聴するかしないかを判断しているのです。最近で言えば、ムロツヨシが出ていれば絶対面白い!や福田監督作品にはずれなし!といったように視聴するかを決めています。
番組に関する情報は多様に入手できるので、「外さない」「失敗しない」ドラマを選びます。TV局の番組宣伝情報に敏感です。キャストは誰?製作者は誰?放送局はどこ?など「顔が見える」ことは信用、そして失敗しない確信へとつながります。
一方で、学生が魅力を感じないドラマの特徴、代表的なものを紹介します。「ありえなすぎ!!」は設定が飛びすぎていたり、殺人シーンが、故意でなく小突いてしまったら倒れて打ち所が悪く死んでしまうパターンなどなど。
このセッションを通して、若者は昔も今もテレビが大好き!ということが伝わりましたでしょうか。
私たちが「面白い!役に立つ!」と思える番組をもっと増やしていただけると幸いです。
長くなりましたが、最後までご覧いただきありがとうございました!!
文責:鹿角梨夏
次回は、レポートの最終回。
ラップアップ「2030年にテレビはこうあってほしい!」をレポートします。