今回で3週目となりました『Z世代リアルレポート』
2020年1月に産業能率大学経営学部の学生を対象として実施したアンケート調査から気になるトピックス!をお知らせします。
今週、その③は、大学生のキャシュレス事情です。
「日経MJ」1月20日(月)第2面に、「キャッシュレス進展に期待、半数割れ。最多決済は現金、なお45%」という記事が掲載されていました。
記事によると、博報堂が実施した調査で、昨年10月の消費増税に伴いキャシュレス決済は増えたが、キャッシュレスへの消費者の期待はそれほど高くなく、キャッシュレス化が進むことを期待すると回答した割合は半数弱にとどっまったことが報じられています。
また、3つのポイントが紹介されています。
①モバイル決済の利用者は36%で、QRコード決済利用者が伸び
ている。
②約7割がキャシュレスの進展を予測する一方で、キャッシュ
レス化が進むことを期待するのは半数弱。
③キャッシュレス化が進んだ社会に期待することは、決済ツー
ルの一元化が最も多い。
*②のキャッシュレス化が進むことを期待している割合は、若年層ほど高く20代では、60%を超えていました。
では、大学生のモバイル決済利用の実態はどうでしょうか。調べてみました。
全体の7割近くが何かしらのモバイル決済アプリを利用していました。意外と多くの学生が利用している様に感じます。
では、大学生はどんなアプリを使っているのでしょうか。
トップ5のランキングは以下の通りで、スイカとペイペイの利用者が、それぞれ3割近くと多いことがわかりました。
このランキンングは、様々な記事で見る全世代での利用者数やインストール数のランキングと同様でした。
アプリ別の利用状況を調べました。
ミドリのライン線が全体。男子が青。女子が赤です。
男女で違いが見られます。
女子は、LINE Pay (18.1%)、メルカリペイ(13.8%)の利用が多く。男子は、au WALLET(10.8%)が目立ちます。
調査会社のBernsteinの予測によると、2025年までにApple Payは世界のクレジットカード総取引件数の10%を占めるようになるとしている。現在は約5%とのことだ。今回の大学生調査では、ApplePayの回答はごく少数であったが、所有しているスマートフォンの6-7割がiPhoneなので、iPhone」に組み込まれた「Apple Card」はキッカケと特典があれば、意外と早く利用が伸びるかもしれないと考えます。
以上の様に、モバイル決済の利用率は確かに増大しています。私たちは、キャッシュレス決済が進み便利と感じる一方で、「キャッシュレス化」が進むことに不安を持っています。
『キャシュレス決済』に関して不安に感じることを聞きました。(自由回答)
多かったコメントを紹介します。
【男子学生】
・スマホを無くして不正に利用されるのがこわい。
・自然災害などで電気が完全停止した時に困るのではないか。
・個人情報の流出が不安。
・よく分からないところから勝手に引き落とされそう。
・金銭感覚がなくなる気がする。
・支払いが目に見えないので不安。
・気がついたら莫大な金額を使ってしまいそう。
【女子学生】
・お金を実際に渡してないので減ってる感じがしなくて
どんどんお金を使ってしまいそう。
・いくら使ったか実物で確かめることができないから、
残高があるか不安になる。
・お金を使う感覚がなくなってしまい自己破産になりかねない。
・現金と違い手元からなくなる感じがせず使いすぎてしまう。
・スマホを落としたときどうすればいいのか不安。
・乗っ取られて勝手に使われることがこわい。
・仕組みがわからないと不安。
・災害時に上手く機能してくれるのか不安。
男女差は大きくなく以下の5つにまとめられます。
①スマホを落とした時、災害時、充電がなくなった時に
お金が使えなくなる不安。
②現金を使っている感覚がないと使い過ぎてしまう不安。
③仕組みが良くわからないことの不安
④情報漏洩の不安
⑤不正使用されることの不安
特に女子には、②現金を使っている感覚がないと使い過ぎてしまうことの不安コメントが多く見られました。
「自分のお金が目の前で、どのように動いていくのかを把握しておきたい」という意向が強いことがわかります。この思いは大学生に「クレジットカードは怖いからつくりたくない」という意見が多いことにも通じています。
日本国内では、一般社団法人キャッシュレス推進議会が「キャッシュレス・ロードマップ2019」で、2025年までにキャッシュレス決済比率を40%とする目標を発表しています。
この目標達成のためには、キャッシュレスによる還元プロモーションで「現金よりもお得」という認識を浸透することは有効だと思いますが、上記の様な不安をひとつひとつ取り除いていくこと、そしてキャッシュレス決済の便利さ・お得感だけでなく、魅力的な体験を提案することが必要だと考えました。
次週は、④大学生が最近使わなくなった”オワコン・アプリ”についてレポートします。
https://www.kogoma-brand.com/blog/9641/